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人生の最終意思の実現と
争いのない相続のために
ほとんどの方は普段、自分の死後のことを考えることはありません。でも、まだまだ先だと思っていても、人生の終焉を迎える日は確実に近づいています。その時に自分が長年築いてきたものを、どのように家族に受け継がせるかについて関心がない人は少ないでしょう。そうした人生の締めくくりともいえる、最終意思の実現のために遺言書はあります。
また遺言書がなければ、遺族は遺産分割協議を一から始めなければなりません。以前は仲がよくても離れて暮らすようになれば言い分も異なります。遺族の間で「相続」ならぬ「争族」が起こることも……。遺産の分配に正解はありません。あるのは納得だけです。遺言は自分がいなくなった後の家族への手紙です。
自分も納得し、そして残された家族にも納得してもらえる遺言書を書いてみませんか?
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まだ先でもよいのではと
お考えの方に遺言書を作成するにはご自身の健康が非常に重要です。遺言書のほとんどが自筆証書遺言か公正証書遺言の形で作成されますが、自筆証書遺言の場合、全文を自筆で書かなければなりませんし、公正証書遺言は公証人に遺言内容を口述筆記してもらい、それを読み聞かせてもらわなければなりません。
その際に病気などにより書く・話す・聞く・物事を理解するなどの能力(遺言能力)が残っていなければ、法的に有効な遺言書は作成できません。元気なうちに作成しましょう。きちんとした遺言を遺すには
費用がかかるのではとお考えの方に確かに公正証書遺言では公証人役場に支払う手数料や、立ち合い証人への報酬などの費用がかかります。一方、自筆証書遺言では全文を自筆(※)で書くため、そのような費用はかかりません。
ただし自筆証書遺言でも、法的に有効な遺言の書き方は厳密に定められており、自筆証書遺言・公正証書遺言のいずれにおいても、遺言・相続に関するある程度の予備知識が必要です。もしご自身で調べる時間を節約したいとお考えの場合は、行政書士などの法律の専門家に支援を依頼するのが確実ですが、それなりの費用はかかります。
それらの費用は遺言書がない場合、相続される方にかかる負担の代償でもあります。
※2019年から財産目録のみは自筆でなくても認められることになりました。 -
遺言書の方式不備や、遺言者に遺言能力がないとして無効となった裁判例
【ケース1】
病気で視力低下、手の震えがある遺言者が、他人の添え手により書いた自筆証書遺言が無効となりました。添え手がすべていけないわけではありませんが、その要件は大変厳しく、手を添えた者の意思の介入が筆跡上認められないことなどが必要です。遺言者が添え手がなければ書けない状態にある場合は、公正証書遺言など自書を要件としない他の遺言方式による方が確実です。
【ケース2】
日付に「昭和XX年△△月吉日」と書いたもの(いわゆる「吉日遺言」)が、日付の記載を欠くものとして無効となりました。これは特定の日を示していないためです。一方、錯誤により誤った日付を記載したことが明白である場合には有効とされることもあります。
【ケース3】
遺言者が公証人の質問に対し、言語をもって陳述することなく、単に首肯による肯定または首を左右に振る否定の挙動を示したにすぎない場合は、口授があったとは言えず無効になってしまいます。口授とは、言語をもって申述することだからです。
【ケース4】
遺言内容があまりにも複雑多岐で、病床にあった遺言者にそれだけの遺言能力があったとは考えられないとして無効になることがあります。
遺言能力は、遺言内容との相対的関係で判定されますので、重い病状の遺言者が複雑な内容の遺言書を作成することは、体力的にも、精神的にも難しかったはずだという判定です。 -
遺言者本人以外の方が遺言のご相談をされる場合のご注意
遺言に関わる行為はすべて、あくまでも本人の自由意志によるものです。被相続人に遺言を強要したり、変更・撤回・取り消しをさせたり、遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した場合は相続人の資格を失う(民法891条)だけでなく、刑事罰を受ける恐れもあります。
以上は極端な例でありほとんどないと思いますが、遺言能力が低下している被相続人に、単独で自己に有利な遺言を作成してもらおうとすることなども、後日他の相続人との争いの原因になる可能性がありますのでご注意ください。